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家禽獣医の先生に食鳥処理場のことを相談したときのご返信、無断で載せます。ごめんなさい。






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こんにちは。

実際にと殺の現場を目の当たりにして作業に従事する人の中には、現場の実態に心を痛める
人もいらっしゃるとは思いますが、多くがライン作業の常態として慣れてしまうというのが
現実ではないかと思います。経営者も多くが数字での判断で経営をすることに忙しく、現場
の細かい問題や課題に目を向ける余裕が無いという感じのようです。そもそも、血を見る仕
事や排泄・廃棄物を処理する仕事というのは、今日においてもとくに我が国の社会全体にお
いては直視を避ける傾向があります。汚いこと(汚く目に映ること)には目をそむけ、きれ
いごとばかりに目を向ける、そういった社会がどんどん助長されているゆえの実態というこ
とです。よって、おっしゃるような問題の多くが、この国では「無いこと」にされてしまい
ます。だから問題にならないし、「無いこと」にされているのに「ある」と問題視する人自
体を問題にすることがあります。もはや1羽1羽の問題というよりは社会自体が病んでいる(
しかし、それはあくまで主観的な見方にすぎません)という事態なのです。しかし、ほんの
少しずつ、前進したり後退したりではありますが、こうした問題も徐々に改善はされてきて
いるのではないかとおもいます。最近では、アニマルウェルフェアという概念がわが国でも
急速に重要視されるようになってきています。動物の命の取り扱いや飼育されている動物の
生活状態について国レベルできちんとしていこうという流れがあります。まだ産業動物の生
産現場、とくにと殺現場には言及されてきませんが、近い将来、きちんとした基準が出てく
ると思います。
現状、いろいろこうした気づきがあってとくに命の境界線に関わるところでの問題に直接か
かわっているとなれば、動物が命の境界でもがき苦しむ姿を目にすることで心が痛むとお察
しします。しかし、人間の都合で動物の命を誕生させ、人間の都合でその命を奪い、それら
の行為を糧として社会の人々は生活しているということですから、それらの命の尊厳を最大
限に尊重し、一つ一つの命について責任をもって苦痛を最小限にしていく義務は、私たちの
社会全体にあるということは間違いありません。この問題を解決していくには社会全体とし
て取り組む必要があります。
こうしたらよいと思うことを実現する方法は今の社会では、自分自身が経営者になること、
自分自身の意思と同じ方向の経営者と一緒に仕事をすること、しか選択肢がありません。組
織は余計な仕事が増えることを良しとしない風潮があります。大事な課題解決をしようと思っ
ていても、それを望まないという組織風潮があれば、課題に取り組もうとすること自体が問
題にされてしまいます。それでもどうにかしようというのであれば、経営者の信頼を直接獲
得することが必須です。現場に提案するのではなく、経営者と話をする必要があります。た
だ、経営者と話をするのは脈絡なく飛び込んでもだめです。そういった組織上のポジション
に自分がつかなければなりません。
いずれにしても、今回、ご相談いただいた問題は、社会的な課題です。私たちはそういった
課題を解決していく仕事をしていますので、近い将来必ず改善の方向に向かうよう努力して
いきます。




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特にここだよね。


―――血を見る仕事や排泄・廃棄物を処理する仕事というのは、今日においてもとくに我が国の社会全体においては直視を避ける傾向があります。汚いこと(汚く目に映ること)には目をそむけ、きれ
いごとばかりに目を向ける、そういった社会がどんどん助長されているゆえの実態というこ
とです。―――







「綺麗」と「美しい」は違うって、

岡本太郎が言ってるよ。